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Happy Birthday, Kami !

1.白黒パンダをカラフルな迷彩に。

 上海などの中国沿岸都市部では、とくに高い認知とシェアを誇っていた上海ネピアであったが、競合メーカーの追い上げも激しく、新たなデザイン性を持った製品が必要というオーダーが上海ネピア総経理(現地法人支社長)より直々に入った。開発オーダーは、「中国で愛されているパンダのデザイン」という至ってシンプルなもの。さらに、「上海の若者に流行しているカラフル迷彩」というイメージを聞き出すことができた。
 開発を進めていくと改めてテーマの難しさを認識。白黒模様=パンダという誰もがわかるイメージを、カラフルな迷彩にすることで、自分たちが迷走していたことに気づかぬままプレゼンに臨んでいた。結果は全案NG(デザインA~D)。「パンダとは分かりづらい」「色がうるさい」「気持ち悪い」・・・厳しい意見。ここで思い掛けない言葉が総経理から出てきた。「あのときのデザインを覚えてないか…」

  • A

  • B

  • C

  • D

  • 干支パッケージ採用案

  • E

  • F

2.NGではなかったNG案。

 「あのときのデザイン」。それはKAMI誕生の4年前。中国の春節向けに提案したときのことである。その不採用案がE)。干支のネズミのキャラクターとシルエットをカラフル迷彩柄で表現した当時のデザインを総経理は覚えていた。 
 『あのときのデザインは、市場に出すのは早すぎると判断した。しかも「干支」をテーマにしてしまうと短期・短命なデザインになってしまう。望んでいるのは「新しい定番感のあるデザイン」、誰からも好かれ、息の長い製品を作りたい。そういうデザインはいつか実現させたいと思っていたが、今回がそのケースにあたるのではないだろうか。』
 4年の歳月を経て、NG案復活の兆し。早速、当時のプランを元に「パンダ迷彩」の再開発にとりかかる。再提案したデザインがFである。
 『面白いデザインができあがったね。こういうのを求めていたんだ。でも、これもっと良くなる気がしないか?』、
 『このデザインだとまだ店頭では「呼んでない」気がする。ユーザーの心をわしづかみにするには、もっと「呼んでいる」パワーが必要だと思う。パンダのパワーが足りないのか、今のままだと、今のままだとイラストなんだよね。ただのイラスト、生きてない。これをもっとイキイキさせることができないかな?』

3.付加価値のある再々プレゼンへ。

 再プレゼンに対する総経理の言葉を機に、デザインの方向が一気に切り替わった。「呼んでいるデザイン」に注力した。このとき産声を上げたのがデザインGである。
 プレゼン直前のミーテイングが始まる「このキャラにはパワーがある。このままだと一過性のキャラクターデザインで終わってしまう。それなら、しっかりとキャラクター設定をしよう。上海ネピアの新キャラクターを逆に売り込んでしまおう。」メンバー間で沸き上がった思いと共に一気に作り上げたのがプレゼン用のプロモーションツール(H)
 プレゼンでは、「パンダの修正案は、キャラクターとして独り立ちさせます。」と半ば開き直り、一方で確信を持って提案を行い、一気にキャラクター設定まで説明を続けた。
 「ご依頼の内容はパンダのキャラクターを活用したカラフル迷彩でのデザイン。しかし、このキャラクターが活かされる結果になれば、それは単なるデザインにとどまることなく、御社が既にライセンス契約を結んでいるキティやミッフィとは異なる、完全オリジナルのネピア発の新キャラクターとして、様々なプロモーションに活用できるパワーがあると確信しています。」
 全ての提案を終えた。言うべきことはすべて伝えた。そのあとに続いた総経理の言葉は今でも忘れられない。

G


H

アレンジ版(寝ているKAMI)


販促用に開発されたキャラクターグッズ

 『気持ちの良い提案だった。さすがLEXIS、僕たちのデザインをずっとお願いしていただけに、売場で「呼ぶデザイン」になったと思う。このデザインは「呼んでいる」ね。本当に良いデザインになったと思う。これ、まさにこれ、キャラクターの世界観も面白い。この提案を採用させていただきます。』

 総経理から助言を戴かなかったら生まれなかったデザイン。入り口は「パンダのパッケージ」であったが、様々な伏線がひとつになって完成したキャラクター。
 『キャラの名前もすでに付けています。「KAMI/卡米/カーミー」と言います。日本語の「紙」の発音がベースで、シンプルで男の子らしい文字を使いました』。キャラのネーミングも一発採用。道のりは遠かったが、完全勝利のプレゼンとなった。

History With Nepia Top