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Fifteen Years
of Nepia & Lexis

1.ブランドとともに歩んだ15年。

 王子製紙ネピア(蘇州)有限公司上海分公司(=上海ネピア)のパッケージデザインとの関わりは2002年。本稿を作成している現在が2016年となると、足掛け15年の非常にお付き合いの長いクライアントの一社となる。このような関わりが持てたきっかけとなったのは、1999年のLEXIS上海オフィスの立ち上げ、東京と上海の2拠点連携により日本から中国市場に進出するグラフィックデザインの開発対応を柔軟に対応できる体制を作りあげたことの影響が大きい。中国でのブランドイメージの底上げを目指す上海ネピアの依頼を受けた日本の大手代理店によって、日本国内に拠点を置きながら中国市場を知る、中国語のグラフィックデザイン対応ができるデザイン会社として当社が選定されからだ。

プロジェクトは、まず現地の市場状況の把握から始まった。LEXISの中国拠点がある上海の2000年代初頭の様子といえば、2008年の北京オリンピックや、2010年の上海万博などの大型国際イベントを控え、多くの国民が活気に満ちている一方で、インフラ整備や都市開発を進めていくため上海市内のあちらこちらが再開発されていく、まさに急激な発展途上の真っ只中にあった。

一度でも中国の大型スーパーマーケットを訪れた事のある方ならお分かりの事かもしれないが、日本の家庭用紙(ティシューやトイレットロール、キッチンペーパーなど)の売り場状況と見比べると、中国のそれは大きく印象が異なる。

開発中の上海

上海のスーパーマーケット

驚くべきは、まずはその売り場の規模である。売り場の陳列棚の高さは3メートル、幅は一列20メートルあるとしよう。この全て、いや、その陳列棚の2〜3列が、全て家庭用紙商品で埋め尽くされている。そんな売り場を目の当たりにした。LEXIS上海のスタッフからも訪中前に事前に話には聞いていたものの、想像を絶する売り場であったのは記憶に新しい。並んでいるブランドも、中国ローカルのブランドだけでなく、欧米系、台湾や韓国などのアジア系、これに日本ブランドである上海ネピアも加わり、およそ数十ブランドの何十種類もの商品が所狭しと並んでいた。普通のコンビニエンスストアなら、家庭用紙だけで店中がいっぱいになるような第一印象だった。そして、このような状況の中で「上海ネピア」のブランドアピール力を底上げしていく必要があった。

上海ネピアは、我々が関わりを持つ以前から中国市場での販売を行っていた。販売商品が徐々に増える中、用紙の品質面では消費者から高評価を得られていた。けれども、中国ローカルブランドとの比較では割高感は否めず、しかもネピアブランドという明確なイメージ付けができていなかった。「日本ブランドなら品質は信用できる」という市場の通説の影響もあり、消費者に認知はされているものの、ネピアブランドのファンを醸成できるまでの段階には至っていないと推定できた。

2.ジオメトリック=「あ、ネピアがある」

 そしていよいよデザイン開発。まずは「品質は安心されているネピア」と言えばどんな「デザイン」なのか。どのようなデザイン性があればネピアのブランド・パーソナリティを強化できるかを課題とした。当時の日本のネピアのパッケージデザインにも用いられていた直線と円弧を組み合わせたデザインは一つの基軸となった。均整のとれた図形の起用や、その配置方法などを様々に検討し、辿り着いたのが後にネピアパッケージデザインの基本概念となる「ジオメトリッック(幾何学)・デザイン」である。

2002年、上海ネピアの既存のパッケージ全てに、この「ジオメトリック・デザイン」の概念を適合させ再設計したことで、様々なパッケージデザインによってカオス化していた中国の店頭において、一目で「あ、ネピアがある」という印象を与えていくことが可能となった。これは言い換えれば、パッケージによるネピアのブランドデザインが構築できたということになる。

現在も上海ネピアのパッケージに登場するデザインエレメントの多くは、例えば花柄一つを取り上げても、花弁の1枚1枚が均等に割り付けられ、そしてそれらが一例のリズム感によってパターン配置されている。

15年という長い期間、1つのブランドに関わりを持ちながらその本質への理解を深め、「ブランドらしさ」を極めながら新たなチャレンジができることは楽しいことであり、大変なことではあるが、ブランド自体が成長していくことで、自分たち自身も成長していくことができるのも「ブランディング」の醍醐味なのだろう。

 

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